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伸張反射(腱反射)

今回は、伸張反射について解説します。

伸張という言葉から、反射の内容を連想できないため、とっつきにくい印象の伸張反射ですが、英語でいうと単にストレッチ反射です。つまり、筋肉がストレッチされると出る反射ということです。英語だと簡単な言葉でも、日本語に訳されると途端に難しくなってしまいます。

これは、専門用語にありがちなことで、反射のイメージがつかみにくい時は、英訳を調べてみるのも手です。医学用語は、ドイツ語や英語、ラテン語の翻訳であることが多いため、漢字に直すと必要以上に難しくなってしまうことがよくあります。

伸張反射とは

伸張反射とは、「筋肉が伸ばされると、元の長さに戻ろうとする反射」です。

学校の健康診断で、膝のお皿の下をお医者さんに叩かれたことがあると思います。その時、膝下から足がピョコンと跳ね上がるのが、伸張反射の作用です。膝のお皿の下を叩くと、膝を伸ばす大腿四頭筋がのばされて伸張反射を起こします。すると、筋肉が急激に収縮して、かってに足が伸びてしまうのです。

伸張反射のことを、腱反射と呼ぶことがあります。これは、上記の学校の健診のように、神経の機能に異常がないかどうかを調べる際に、腱を叩いて伸張反射の具合を検査するからです。

腱反射は、腱を叩いて筋肉を伸ばし、伸張反射を誘発しています。

伸ばされると筋肉が収縮する伸張反射のしくみは、全身の筋肉に備わっています。


脊髄反射

伸張反射も脊髄反射です。筋肉が伸ばされると、筋肉の中の長さを感知するセンサーから、脊髄に信号が送られます。すると、即座に脊髄の筋肉を収縮させる神経細胞を興奮させ、筋肉が収縮します。伸張反射は、脊髄反射なので、脳を介さずに反応が起こります。しかし、伸張反射は、筋肉の長さを感知するセンサーの感度によって強く出たり、あまり出なかったりします。学校の健診で上手く反射がでなかったり、自分で試してみて勝手に足が動く気がしないなど、反射が上手く出ない場合は、センサーの感度が低くなっています。


伸張反射とストレッチ

ストレッチをした時、なかなか筋肉が伸びてくれないのも、伸張反射の作用です。ストレッチによって筋肉が伸ばされると、伸張反射によって筋肉は収縮します。すると、筋肉が突っ張ってしまうというわけです。伸張反射は、急激に伸ばされほど、強く収縮します。そのため、急激に伸ばすほど、強く抵抗が起こります。急激なストレッチは、筋肉を損傷させる危険があるので、注意が必要です。また、ストレッチをしすぎると、伸張反射がでにくくなり、力が出にくくなったり、関節が安全な可動域を越えて動いてしまったりすることがあります。伸張反射によって、筋肉の張力が一定範囲内に保たれているおかげで、関節を安定して動かすことができます。過度な柔軟性もまた、運動能力の低下やケガにつながるため注意が必要です。

伸張反射 まとめ

全身の筋肉にある

伸ばされると元に戻ろうとする

急激に伸ばされるほど強く収縮する


参考動画:腱反射


参考動画:犬の膝蓋腱反射

人間だけでなく動物にも、同じような反射が存在します。




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